学校の階段!?

第9章  小村雑貨店

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二人は、息子夫婦と源三にお礼を言って「小村雑貨店」を後にした。



  駅に着くとちょうど電車が行ってしまった後だったので、次の電車が来るのが15分後だった。 二人はベンチに腰を下ろした。

「缶コーヒーでも飲むか?」

  健は無言で頷いた。達樹はそうか、と言うとスクッと立ち上がり、ベンチの隣 にある自動販売機の前に立った。ピッという機械音と、ゴトッという鈍い音が二つ。そして、

「あぁ〜っっ!!!」

という情けない達樹の悲鳴が一つ。 自分の目の前に再び現れた親友は、苦笑いしながら言った。

「ホット買っちまったよ〜…すまん。」

  健はきょとんとしながら、夏には厳しい温度の缶を受け取る。 達樹もドサッと腰を下ろし、二人で厳しい缶を開け、飲んだ。


「…熱いな。」
「…熱いね。」


そして二人は顔を見合わせ、同時に噴出して大声で笑った。

ひとしきり笑った後、健は曇った眼鏡を外して呟いた。

「達樹…」
「ん?」
「桜儚は…“ある人”と一緒にこれも探してるのかな?」

  そう言うと、健は例のペンダントをポケットから取り出した。 夕日に透かしてみると、やはり不思議な色をする。おそらく翡翠の一種なのだろう。

「わっかんねぇな、そればっかりは。」






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